Tazaki Hirono

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3月の通訳&翻訳

何だかんだしている間に新年度も2週間が経ち、気持ちは既にGWに向かっているこの数日です。3月は仕事の合間に確定申告・区の婦人健診・娘の眼科定期健診&眼鏡新調&医療費助成手続き・iPhoneバッテリー交換…などなど細々としたやることリストに追われ年度末らしくバタバタしていました。この月間請負業務の記録は自分の備忘録でもあるので、なるべく早いうちにまとめたいと思っているのですが、4月に入って今度は新年度の仕事でバタバタして3月のことがなかなか思い出せないでいます。それでも1つ思い出すのは、顔が見えない相手や会ったことがない相手とのメールでのやりとりは気をつけようと感じたことです。数か月前に取引先の1つで担当者が変更になりその新任の方のメールの文言や業務の抜けの多さにずっとモヤモヤしていました。業務の抜けは新任なので仕方がないと思いますが、やはりメールが気になっています。このメールのやり取りはベトナム語(担当者の母国語)でしています。ベトナム語は日本語のような敬語はないですが文末にạを付けたり、要所にxinを付けたり、Em cám ơn chị のように文頭に一人称を敢えて付けることで文章に丁寧さが出ます。文末にnha nhéをつければ会ったことがない相手でも親しみが湧きます。例えば(というか実際にもらったメールですが)、いきなり「ファイルを送ります。なるべく早く納品するよう頑張ってください」と連絡が来たらいい気持ちはしないですよね。枕ことばやクッションになる言葉がなく、尻切れトンボでぶっきらぼうなモノの言い方をベトナム語で「nói không」と言います。つたない外国語でなら仕方がないかもしれませんが母国語で、しかもその案件をお受けできると言ってもいない状態でこれはないです…。と、神経質な人の愚痴のようなことを書いてしまいましたが、このことを通して改めて思ったのはフリーランスという一期一会の仕事の性質上、また翻訳のようにメールやデータでのみのやり取りで顔を合わせることがない相手には特に気を付けてメールを書こう!ということです。見えない相手だからこそメールが「人となり」の全てになるので、気持ちよく仕事をする上では大切ですよね。翻訳や校閲だと原稿を納品してもうんともすんとも連絡が来なくて不安になることがあったり、通訳だとスケジュール調整について何度も質問を受けて「仮押さえで宜しく!」とされた途端に連絡がパタリと途絶えて別のエージェントさんからお仕事の打診があった時に即答できず困ることもよくあります。なので、私ができることとしてはエージェントのご担当者やクライアントとのメールのやり取りで「この人に任せれば安心」と思っていただけるような早く丁寧なレスポンスを心がけたいと思います。これまでもそうしてきたつもりではいますが、自分への戒めとしてここに記しておきます。以下、3月に固定の仕事以外で請け負った仕事の備忘録です。通訳:鉄道系技術系翻訳:企業ホームページ、絵本 など校閲:企業PR動画テロップ、タブレット表記 などベトナム語レッスン:文法&読解レジュメ写真は、仕事で使う本を図書館へ借りに行った際につい手が伸びた本。ベトナム語というよりは日本語に関する本に目が留まりがち。分野に限らず読書量が圧倒的に足りていないのを日々痛感しているのだけど、ついつい言葉をまとめて沢山得られるような本に手が…。 『翻訳というおしごと』は、翻訳者になるためにはというページは飛ばして営業方法や単価交渉やエージェントへの登録のページを読むために。書いてあることは大体やっている(やった)ことなのだけど、時々こういう類の本を読んで後回しにしている物事に対するやる気を起こさせています。

2月の通訳&翻訳

2月は前半にテトがあり固定のお仕事はお休み、後半は単発のお仕事で出張が続きました。現場ではベトナムのほかインドネシア、マレーシア、タイ、モンゴルから来日された方々に通訳さんたちと交流する機会もあり楽しく過ごすことができました。通訳さんたちは皆さんベテランの方ばかりだったので、ここぞとばかりに悩みどころそ相談させていただいたり助言をいただいたりしました。業務の合間には「通訳あるある」でも盛り上がりました。業務は前回の案件でも担当させていただいたので、前回学んだことを今回に活かすことができましたが課題もありました。例えば、「油圧ショベル」という正式名称の建設機械がありますが、これを「ショベルカー」や「パワーショベル」、「ゆんぼ」「バックホー」と人によって使う言葉が違う場合があります。ベトナム語でも同じように、あるモノの呼び方が人によって異なります。「油圧ショベル」は統一名称として社団法人日本建設機械工業会によって定められているそうですが、ベトナムではこうした「正式名称」が定められていないことが多く、モノによっては俗称が日本語以上に多種類なのかもしれません。反対に通訳の下調べで正式名称を覚えていても、いざ現場へ行って通訳対象者が俗称を使うと頭の中が「???」と一時停止してしまうことがありました。また、前回の現場で通訳対象者が使っていた言葉「〇〇」を今回の現場で使ったところ「〇〇という言葉は使わない。△△が正しい」と指摘を受けた場面もありました。「ええ⁉」と思いつつ、それ以降は今回の通訳対象者が正しいとする言葉を使うようにしました。(余裕があれば)通訳対象者が話す言葉を瞬時に察知し、対象者の耳馴染みが良い単語を選んで訳せたらいいですね。以下、2月に固定の仕事以外で請け負った仕事の備忘録です。通訳:鉄道系技術、離婚訴訟打合せ など 翻訳:民事事件意見陳述書、鉄道系技術 など校正:オンライン母子手帳、アプリ表示 などベトナム語レッスン:文法&読解レジュメ写真は現場で置いていただいたネームプレート

ライターさんから使える表現を学ぶ

この2週間は仕事で東北新幹線やまびこ3回・なすの1回、秋田新幹線こまち2回、上越新幹線Maxとき1回・とき1回とたくさん新幹線に乗りました。短期間にこんなに多種類の新幹線に乗ることはなかなかないので貴重な体験でした。因みにプライベートで一番よく乗るのは北陸新幹線かがやきです。 みなさんは新幹線で移動する際に必ずすることはありますか。車内販売の商品を買う、携帯の充電をする(新型の場合)、肉まんを食べる(東海道新幹線に限る?)、ビールを飲む、仕事をする、取り敢えず寝る、窓からの景色を楽しむ…など。  私は必ず車内誌を読みます。JR東日本なら『トランヴェール(Train vert)』、JR西日本なら『西Navi』を。車内誌では地域の観光スポットや特産品について紹介されていて、行ったことがない地域の旬を知ることができますし、行ったことがあるところなら懐かしさを感じます。トランヴェール2月号では北陸3県が特集されていて嬉しくなりました。私が車内誌を読むもう一つの理由がライターさんたちから「表現を学ぶ」ためです。2019.01.18 16:39の投稿「翻訳者のボキャブラリーと訳語の選り好み」でも書きましたが、私の頭にはパッと浮かばない表現に線を引きながら読み進めます。普段気に留めていないために、知っているようでいていざという時に出てこない言葉というのは案外多いのです。トランヴェール2月号で、「そういえばこんな言い方があったなぁ」や「こんな言い方があるんだぁ」と思った言葉の一部をご紹介します。   *****~をはるかに凌駕する、~の一端にふれる、白んでいく空(空が白む)、満々と水をたたえ、もっけの幸い、~のしつらえ、そぞろ歩き、座している(鎮座する)、壮麗さ、さしずめ、~の構え、贅を尽くした、見張るが、遜色ない、思えば…、妙味*****   私の場合、「白んでいく」は「次第に明るく/明るんでいく」と、「見張るが」は「目を見張るのが」、「遜色ない」は「引けを取らない/劣らない」としがちです。冬の雪景色について、雪の白と枯れ木の地味な色合いをイメージしがちなところ実際には冬の花々が色鮮やかなことを説明するのに、冬枯れしているものの「無彩色ではない」と表現している箇所もなるほど!と思いました。敢えて「鮮やか」と対極する「無彩色」を否定することで「思いがけない・予想外」な様子が引き立つような気がします。 翻訳は原文から逸脱してはいけませんが、意訳や脚色がある程度許される場合もあるので、そのような時に備えてこうして言葉集めをしています。時が経ってまた同じ言葉をメモることもあり…すべてが身についている訳ではないのですが…。 宣伝になりますが…実はベトナム航空(日本⇔ベトナム 運航便)の機内誌『HERITAGE Japan』の翻訳をさせていただいております(その号によって翻訳項目は異なります)ので、ベトナム航空をご利用の際は、お手に取っていいただけましたら幸いです。       写真はトランヴェール2019年2月号の10~11ページ。文:腰元文子さん、撮影:鶴田孝介さん。金曜夜、東京21:04発⇒(かがやき519号)⇒金沢23:35着で楽しむ古都の旅が紹介されています。これからの季節は兼六園の桜がとてもキレイです!ひがし茶屋街でお抹茶やお菓子をいただいたり、金箔細工、九谷焼、漆塗り、近江市場…見どころ満載。また金沢に足を運ばれたことがない方も是非いらしてみてください。

【今日の読み物】路地で夜通しバインチュン作りに精を出すサイゴンの人々

2019年2月5日はテト(ベトナムの旧正月)でした。ベトナムに所縁のある方には友人や家族と美味しいご馳走を囲んだ方も多かったのではないでしょうか。今回の【今日の読み物】では、テトに食べられるバインチュン(Bánh chưng)について書かれた記事を紹介します。 バインチュンは豚肉・緑豆の具材をもち米に入れて、それを大きな葉で包み正方形に成形して茹でるチマキのような料理です。正方形に成形されたものはバインチュンと呼ばれ主に北部で、同じ具材で円柱形に成形されたものはバインテト(Bánh tết)と呼ばれ主に南部で食べられます。  記事では南部ホーチミンでバインチュン を作る人々について書いてありますが、もしかすると北部にルーツを持つホーチミン市民なのかもしれませんね。バインチュンやバインテトの由来や作り方に興味がある方は是非インターネットで検索してみてください。 因みにバインチュンやバインテトの食べ方も地域や家庭によって様々。そのまま食べたり揚げたり。ヌックマムや醤油、チリソース、唐辛子塩や塩コショウにライムを絞ったものにつけて食べたり。 私がベトナムに住んでいた頃は、田舎でmật míaと呼ばれる糖蜜につけて食べるのが大好きでした。甘いので子供たちの方が好んでつけていましたが、私も一緒になってお茶碗にトロッと糖蜜を注ぎバインチュンにつけて頬張っていました。日本では手に入りにくいので、今はもっぱらヌックマムにコショウとライムを絞ってタレにしています。

記憶捜査~新宿東署事件ファイル~の第4話 (見逃し配信:終了)

【今日の読み物】始めます。

新たな試み…。大変ありがたいことにベトナム語検定やおすすめ学習方法を紹介したページを多くの方にご覧いただけているようなので、ベトナム語のオンライン記事とその和訳を【今日の読み物】としてご紹介してみたいと思います。(思いつきの試みなので更新は不定期、継続は未定です…)【今日の読み物】では単語や文法の解説はせず、旬のニュースをざっくりな和訳(意訳あり)でご紹介させていただくつもりです。初級・中級で長文読解の練習をしたい方、中級以上で翻訳に興味がある方だけでなく、ベトナム語が分からない方にもオンラインニュースの写真と照らし合わせながら和訳を「読み物」として楽しんでいただけるような内容にしたいと考えています。 というのも、私は長文読解には頭の中で単語の一語一句、構文のひとつひとつを解読(かいどく)していくよりは、分からない単語や表現が出てきても取り敢えず読み進めていきザッと大体の内容を把握するのがコツのように考えています。あとは、日本語の記事を読む時も同じことが言えますが、興味をそそられる文章なら多少難しそうでも読んでみようと思えるのではないでしょうか?反対に興味のない(こむずかしい)分野の記事は読めと言われても読む気すら起きませんよね(私がまさにそうなのですが…)。 まずは、とっつきやすいテーマから入り長文に対する苦手意識を払しょくする、ざっくり理解から徐々に細かいニュアンスまで理解できるようになる、より難易度の高い長文にも挑戦できるようになる…という感じに【今日の読み物】をご活用いただけましたら幸いです。そこで【今日の読み物】では私の独断と偏見で読み易い(つまり…私が興味を惹かれた)記事を選んで和訳をご紹介します。繰り返しになりますが、ざっくりな和訳なので原文と和訳を照らし合わせると訳出されていない単語があったり、能動態の文章が受動態に訳されていたりする箇所もあるかと思います。また、「翻訳者のボキャブラリーと訳語の選り好み 2019.01.18 16:39」でも書いた通り、私の翻訳の癖も出てしまうと思いますが、そのあたりはご容赦ください。。明らかな語訳などがございましたらご遠慮なくメール等でお知らせください。 初回は近日中にアップする予定ですので、しばらくお待ちくださいませ。。

1月の通訳&翻訳

Chúc mừng năm mới !! 今日はテト(ベトナムの旧正月)や中国の春節ですね。今日は仕事で新宿へ行きましたが、中華系やベトナムの旅行者がいつも以上に多かったように思いました。さて、昨年末から依然として日本全国がインフルエンザの脅威に晒され続けています。我が家も御多分に洩れず、お正月休み明け早々に寝込んでしまい、単発のお仕事を見送らせていただいただけでなく、固定のお仕事もしばらくお休みさせていただく始末。先日やっと仕事復帰したところですがまだ全快とは言えない状態で、治りの遅さに年齢や基礎体力不足を痛感しています。  1月は大変ありがたいことにベトナム語レッスンのご依頼をいただきました。過去には語学学校でベトナム語の入門を担当していたこともありますが何年も前のことですし、直近でお受けしたベトナム語レッスンは海外研修へ行くというベトナム語初学者の学生さん向けの回数限定のレッスンでした。    今回ご依頼いただいた方は独学で1年半勉強されていて、文法・読解・作文のレッスンをご希望されました。テキストによって文法の出てくる順番がだいぶ違うので、お使いのテキストをお伺いして既習項目なども参考にしながら、レジュメを作成させていただきました。      私がベトナム語の勉強を始めた頃は今のようにテキストや辞書が豊富ではありませんでした。現役の頃に使っていたのは現地の大学が出しているテキストと現地出版社の日越越日の辞書のみ。あまり真面目な学生でもなかったので課題はしても自分でテキストを探したり日越交流みたいなことにも無関心でした。。     ベトナムの方によく「何年くらいベトナム語を勉強していますか?」と聞かれたり、日本の方には「おすすめのテキストは何ですか?」と聞かれます。「学習期間は実質4年間、おすすめのテキストは…。う〜ん、よく分かりません。。」が私の正直な回答です。通訳翻訳業を初めて今年で15年目になりますが、私がベトナム語の理解を深めるために何が有効だったかを振り返ると、会話や聴解は現地の生活にどっぷりと浸かっていたことは外せません。だからこそ日本に住む学習者にとっては一番の難関でもあるかもしれません。      一方で読解や文法の強化に何が役立ったかといえば、大学院時代にベトナム語の文献を読んだり、アルバイトで新聞の翻訳していたことです。これは今の時代だからこそ世界のどこに住んでいてもやる気さえあれば、自分で取り組めるのではないでしょうか。文献や新聞を読む中で、頻出構文が目に留まるようになり「〇〇と△△はセットで使うんだぁ」とか、構文の説明を詳しくするよう言われたらちょっと躊躇するけれど「こういうシチュエーションにはこの決まり文句」といったように<感覚>で文章を読めるようになっていきました。(文法の成り立ちからしっかりと学んでこそ!というご意見も勿論あると思います。)      今回ご依頼いただいたお客様はテキストで独学されていらっしゃるとのことでしたので、ご要望をヒアリングさせていただきました。そして、テキストとは違った角度から…レジュメではよく使われる構文が出てくる短めの新聞記事を選んで、内容の理解(内容に関する設問)や記事中に出てきた構文の使い方の練習(語順並べ替えや作文など)で構成してみました。題材や文章の長さ、出てくる語彙や構文の難易度などを考えならが記事選びをしていると色々と悩みだして数パターン作ってみたり、選びきれなくなったり。     第1回目の課題はお試しで解答提出&フィードバックという形で取り組んでいただき、構成やレベル、分量などにご納得いただけたかどうかのご意見や、もっとこうして欲しい等のご要望を頂戴し、構成に修正を加えて第2回目以降のレジュメ作成していく予定です。気に入っていただけると良いのですが…。     ☆現在は通訳翻訳をメインに活動しておりますが、お客様からお問い合わせいただけましたら対面式やオンライン、メールなどレッスンの形式や学習歴(レベル)、お使いのテキスト、強化したいポイント(会話・文法・読解など…)をヒアリングさせていただき、ご要望に応じたレッスンを構成させていただきます。お気軽にお問い合わせください。     (※オンラインレッスンはお受け可能な時間帯が平日の日中に限られてしまうため、大変恐れ入りますが平日夜や土日祝をご検討されている場合はご希望に沿うことができかねますので、予めご了承くださいませ。)    以下、1月に固定の仕事以外で請け負った仕事の備忘録です。 翻訳:寮則、機内誌校正:銀行口座関連書類ベトナム語レッスン:文法&読解レジュメ    写真はテト(ベトナムの旧正月)仕様に、縁起の良い黄色い花々を飾った部屋の一角。テーマはテト帰省。黄色いお花は元気が出ます。

センター試験 国語の評論に「翻訳をめぐる七つの非実践的な断章」

1月19日(土)〜20日(日)に2019年度大学入試センター試験が実施されましたが、1日目の国語の評論にロシアやポーランド、スラヴの文学を専門に研究されている東京大学 沼野充義教授の「翻訳をめぐる七つの非実践的な断章」が出題されたのをご存知でしょうか。昨今はAI化や自動翻訳が進み、近い将来に通訳者や翻訳者はいらなくなる⁉︎という話題もよく耳にするようになりました。こうした背景から、センター試験にも翻訳をテーマにした問題が出されたのかなぁと思いました。私は翌20日(日)のニュースや新聞で報道されたセンターの解答速報でこの問題を知り、早速読んでみました。試験本番なら速読して素早く解答しなければならないでしょうが、今回は要所要所で読み返しながらじっくりと、「読み物」としてとても楽しくて興味深く読みました。 ここで沼野先生は、「翻訳とは何か?」ということに言及されています。ある文章を元の言語で読むのと翻訳された言語で読むのは同じ体験をしたと言えるのか?近似的な体験なのではないだろうか。「よろしくお願いします」のように外国語に翻訳することが不可能だろうと思われるような慣用句をどうするか-直訳した上で脚注をつける方法や、読み手の文化的に一番自然な言葉に言い換えることでこなれた訳文にする方法…。そもそも正確な翻訳とは何か?などなど。翻訳者の端くれの私もこのような「翻訳とは何か?」について自問自答の日々ですが、永遠のテーマとして考え続けることが大切なのかなぁと思います。また、異なる言語の狭間で翻訳することができない単語も一度考え始めると、出口の見えない迷路に入ったような感覚になることもありますが、それが翻訳の奥深さでもあるのかもしれません。「翻訳をめぐる七つの非実践的な断章」の本文は東進ハイスクールのホームページで解答速報とあわせて掲載されていましたので、ご興味のある方は、以下にリンクを貼っておりますので、そちらからご覧ください。翻訳に興味がある方や外国文学の訳書をよく読まれる方などには、「翻訳できない世界のことば」エラ・フランシス・サンダース (著)   前田 まゆみ (翻訳) という本も興味深いと思います。世界各国で使われている感情や状態を表す言葉で、そのニュアンスを外国語に翻訳することができない言葉たちが集められた1冊。言葉ひとつひとつの解説を読みながら情景を想像すると、「あぁ、確かに言葉にはできないけど、この気持ちは分かる気がする…」と感じる言葉や、「へぇ~、こういう感覚は分からないけど、この国で暮らす人ならでは!っぽい」と感じる言葉が盛りだくさんです。是非。

翻訳者のボキャブラリーと訳語の選り好み

フリーランスで通訳や翻訳を請け負っていると、情勢や事件事故、企業や組織の新サービス&商品などその時々の「旬のテーマ」に関連したお仕事をいただくことが多いです。故に、翻訳案件の場合は、同時期に複数のクライアント様から同じテーマに関したお仕事をいただくことがあります。さらに、テーマだけでなく情報ソースまでもが同じということもあります。先日も複数のクライアント様から数週間違いで同じ情報ソース(PR)を基にした翻訳をご依頼いただきました。2つの案件はそれぞれ多くの方のお目に触れるものでしたので、丸っきり同じ訳では転用になり良くありません。先のクライアント様にはすでに納品済みでしたので、後のクライアント様へ納品する訳原稿は、いつもの自分の思考にひねりを加える必要がありました。例えば、私がA社とB社から同じ公文書の翻訳をお受けした場合。定型文に言葉を当てはめるような公文書は、A社とB社に納品する訳文は同じになります。仮にこの公文書をXさんまたはYさんが翻訳しても訳文に差異はほとんど生じないでしょう。一方で、案内やPR、筆者の感情が込められた情緒的な文章の場合は、クライアント様の用途(媒体)に応じて敬体(~ですます調)、常体(~である調)を使い分けたり、使う訳語やフレーズに違いをつけたりして意訳することがあります。そのため翻訳者によって訳の仕上がりも違ってきます。元原稿に感動や感激を意味する「xúc động」という単語が多用されていたとします。そこで、対訳に「感動」を繰り返し使っても単調な文章になってしまいますので、「感激・感無量・感銘・感服…」などを使い分けます。または似たような日本語の意味でも「たゆまない努力」と「ストイックな」、「~を彷彿させる」と「~を思い起こさせる」など…この媒体なら漢字よりカタカナがしっくりくる、柔らめの言い回しが合うなど…を考えて訳語を選びます。そのなかで、自分自身の言葉選びの好みや使いがちな言い回しなどの傾向に気付きます。そこで、何かほかの言い方はないかと調べると、「そうそう、こんな言い方もあったな」と思い出したり。普段から新聞やコラム、エッセイ、雑誌などを読む時にも、「私の頭にはパッと出てこない、素敵な表現」を見つけては手帳にメモしたりします。今回お受けした翻訳も、先のクライアント様の原稿では○○という言葉/フレーズを使ったから、今回は△△はどうだろう…、PRしたい本質の部分は保ちつつ、でも違う表現で…と色々検討しました。ベトナム語の翻訳者からライターへ転身された方(日本人)を数名知っていますが、みなさんとても文才があって滑らかというかスッと頭に入ってくる文章を書かれるので、言葉選びに困った時にその方々の文章を読み返すことがあります。翻訳は単に言葉から言葉への変換ではなく日本語力や文章力がものをいうので、私ももっと本を読んで文章を書いて、文章力を鍛えないと…と感じる毎日です(口ばっかり)。写真は、文章とは関係がないのですが…ベトナムの食文化や料理を紹介している書籍『ベトナムのごはん』。もう何年も前に母がどこかの書店で見つけて贈ってくれたものです。文法関連の本が必要になり本棚をあさっていたら目に留まったので、久しぶりに開いてみましたがなかなか面白いです。ベトナム料理を紹介する書籍は多数出版されていますが、食文化や家庭内での食事マナー、食べ物に対する日越の感覚の違いなどがまとめられているものは少ないのではないでしょうか。また、写真ではなくイラスト(しかもフランス人イラストレーターによるアメコミのような画風)も味わいがあって見入ってしまいます。

12月の通訳&翻訳

最近毎晩8~9時頃になると、「火の用心」の掛け声と拍子木を「カン!カン!」と鳴らす音が聞こえます。先日は家の目の前にある幼稚園から少し煙くていい香りと「よいしょ!よいしょ!」という可愛い掛け声に合わせて「ストン!ストン!」とお餅をつく音が聞こえてきたり…師走を感じます。今年のお正月、実家がある金沢に伝わる新年のお菓子:辻占い(米粉とお砂糖でできた干菓子の中にその年の運勢を表すお言葉が書かれている)で、「七転び八起き」と「あきらめない」が出たのですが、今月はこの2つの言葉を凝縮したようなひと月でした。というのも、今月は言いようのない腹立たしさや悔しさを感じることがありました。何か仕事で失敗したり挫折して転んだわけではないですが、しばらくの間クヨクヨ、ウジウジしてしまっていました。しかし、同業の友人や家族に話を聞いてもらいすっきりしました。また、尊敬するある方のお話で「昇華」というお言葉を聞き、つまらないことに気を取られず心身を研磨し続けよう…と思い直しました。そんな時に、3年近く動いてきたもののなかなか進展がなかった個人的な企画について朗報が舞い込み、何事も想い続け行動し続ければ遠回りでも目標や夢に近づくことができると実感しました。来年中にはこの案件についてお知らせできる日が来ることを願い、せっかく掴んだチャンス、全力を投じていきます。以下、12月に固定の仕事以外で請け負った仕事の備忘録です。通訳:被疑者接見、在留資格違反審査翻訳:企業定款、企業ホームページ、一般手紙、技術アンケート、絵本…など校正:絵本、顧客向けタッチパネル、プレゼン資料…など写真は私の今年の漢字一文字「甘」。これは味覚の「甘い」ではなく、家族に「甘えさせてもらった」年という意味合いで選びました。(因みに昨年は「動」)。今年は家族の言葉や行動、そのほかもろもろのサポートを有難く受けて、普段行けないような場所へ連れて行ってもらい貴重な体験をしたり、住まいを移したり…。お陰で仕事に対する想いを新たにできたり、精神衛生上とても良い環境で仕事をできるようになりました。単に家族に「甘え」るのではなく、現状に「甘んじる」のではなく、家族から得たサポートを必ず来年以降の活動に生かしていきたいと思います。