あまのじゃくも時として焦燥感!? (焦燥感編)

あまのじゃくも時として焦燥感!?(あまのじゃく編)では、私の20代前半から30代前半の10年間にわたるあまのじゃく人生について書きました。ここでは私がごくたまに見舞われる(と言うとちょっと大袈裟ですが…)焦燥感について書こうと思います。私の場合は自分の今ある環境や将来について漠然と焦るというよりは、目に見えやすい充実や成功、評価、人脈、知名度、安定感など…がある他人と自分を比較して、自分の劣っている部分について焦るという感じが多いです。比較対象は身近な人の場合もあれば私が一方的に知っているだけという人のこともあります。以下はこれまで(または現在)ついつい比較して焦ったり羨んだりしてしまう対象(時系列)です。※だらだらと長くなります。


〇新卒採用で日本企業に就職した友人たち

大学院に行っていた頃や現地採用で働いていた頃はローカル生活にどっぷり浸かっていた分、現地事情(ベトナム人の&現地在住日本人の)は常時更新され、語彙も増え、ベトナム人の感覚や行動パターンを直に感じ…自分の中では「ベトナム語を学ぶ日本人」から一歩?数歩?前進できたような感覚でいました。ベトナム人には「田崎はもうベトナム人だ」と言われたり、日本人には「田崎さんはベトナム語が上手い」などなど持ち上げられることも増え調子に乗ってた頃かもしれません(苦笑)。


その反面、いわゆる就活をしなかったせいか、ベトナムでの社会人生活が留学時代の生活と大きくは変わらなかったせいか、なんとなく毎日が現実(日常)でななく留学の延長のような夢心地(非日常)のような気がしていました。年に一度の一時帰国では帰省したり都内近郊の友人知人に会ったりしていましたが、1年ぶりに友人たちに会えるのはものすごく嬉しくて楽しくてあっという間に時間が過ぎるのですが…会う友人たちは見た目も話す内容も一気に大人になっていて、そこで何か言葉にできない「差」も感じていました。


社会人1年目2年目こそ職場で「新人」だった友人たちも数年後には後輩もでき、早い人では役職名がついていたり。周りがどんどん成長していっているのに、私はベトナムではちやほやされていても、日本に帰ればまともに働きもしないで(働いていたけれど…)現実とも向き合わず道から外れたヤバい奴なんだな…と。


さらにもっと現実的なことを言えば、年を追うごとに所得格差が出てきます。日本の新卒と現地採用とでは入社後数年間の給与に差はあまりでません。私の場合は現地採用でも会社が保険料を負担してくれ、日々の食事は市場で食材を買って自炊していたのでお金はほとんどかからず、唯一大きな出費は家賃くらいだったので毎年それなりに貯蓄できていました。(但し…現地採用時代は任意加入の国民年金に加入していなかったし生命保険もかけていませんでした。)


〇在ベトナム駐在員

20代後半になるとベトナムにも同年代の駐在員が増えてきて、生活水準に明らかな差が見えてきます。ただ私はベトナムどローカルの食や生活が好きでサークル活動や飲み会は苦手だったのでその辺について何も感じなかったのですが、駐在員の皆さんはデキるからこそ派遣されている訳で、お会いする駐在員さんに「日本人のデキる若者感」や劣等感を抱くことも多かったように思います(笑)


今振り返ると、この頃は周りの反対を押し切って?再度ベトナムに渡り現地での日常生活には充実感を感じていながらも多少の迷いも残っていて、友人や駐在員に現実(日本人として一般に真っ当とされる社会人の姿)を突きつけられるような気がしていたのかなぁと思います。


〇在日ベトナム人に顔が広い日本人の若者

私は30歳目前に日本社会での経験を…と思い日本に帰国し、敢えて「お堅い」公益財団法人に就職しました。仕事は通訳や翻訳もあったのでそれなりにやり甲斐もありましたが、一職員として与えられた業務を黙々とこなすスタイルでした。すると、もっとベトナムにかかわる仕事をしたい欲が湧いてきてました。そして日越交流~、在日ベトナム人~などの活動を活発に主催・参加している同世代(25歳前後の人=年下)の日本人が気になるようになりました。そういう活動をする方は元々の性格がオープンでアクティブな方が多いこともあり、人脈がすごい‼仕事やプライベートで知り合うベトナム人に「〇〇さんを知っていますか?」と聞かれることもしばしば。


前述のサークルや飲み会が苦手というのにも通ずるのですが、私は交流会系も苦手でほとんど参加したことがありません。でも、そいうのを主催したり参加することでベトナム関連の人脈ができたり、知名度(笑)が上がったりするんだろうなぁと内心羨ましくも思ったり。今でも覚えているのが「田崎さんもベトナム語は上手だけど、〇〇さんはもっとフレンドリーだよ。田崎さんはちょっとKỹ tính (細かい、神経質)だよね」と、ベトナム人に面と向かって言われたこと(苦笑) 根に持っているわけではないですが…ちょっと…ねぇ⁉


確かにこの頃の私は「ベトナム大好き」「ベトナム人と仲良くなりたい」「日本人にベトナムの良さを知ってもらいたい」と思っていた学生時代と比べると、ベトナムに対すスタンスがベトナム=仕事に変わり、留学経験があるとかちょっと喋れるとかではなく仕事として専門性を高めてこそ…という考えが強くなっていました。だからか、ベトナムの語学学習歴や渡航歴、料理、日本の文化や暮らしに関する会話がメインになる出会いを少しうっとうしく感じたり、学生や新卒特有のハツラツさや積極性はなくなっていました。それでいて、行くところ行くところで知名度があり慕われている日本人の若者(笑)と比較されるので、それがすごく嫌でありながらも内向的な自分と対照的な若者たちに劣等感や憧れもあったのだと思います。


今となっては上述の対象に対しては自分の中で消化できています。40歳に近くなると友人たちはバリバリと仕事を続け出世している人や結婚や出産などで生活の軸が変わっている人など様々。一方の私は離婚しひとり親、仕事は続けているけど個人事業なので出世というものはなく…。アルファベットのYのように、同じ大学で学生生活を過ごしていた友人たちはみんなそれぞれ全く異なるオリジナルの道を進んでいて…みんな違ってみんな良い(笑) 


駐在員の方々には尊敬の念しかありません(笑) 当時(ベトナム暮らし時代)は日本での社会人経験もまだなかったので駐在員というポジションがすごく遠く感じ「イイ暮らし」にのみ目が行きがちだったのだと思います。1つの会社に長く勤められていること、本社と現地の間に立ち業務を取りまとめられていること、ベトナムに長く住みながらも日本の社会人としての姿勢を崩さないでいられること…など、そう簡単なことではないです。


在日ベトナム人に顔が広い日本人の若者については、かつて日越のイベント等に精力的だった日本人の若者たちもイベントに参加していた在日ベトナム人の若者たちも、おそらく30代に入り生活スタイルが変わったのでしょうか。見聞きしたり、比較されたりすることがなくなりました。


〇ベトナムに関する情報発信が活発な日本人

これは最近つい気になってしまう人々の話です。インターネットでベトナム語関連の情報収集をしていると、ベトナム関連(言語、文化、ビジネス、メディア、国際交流など…)の様々な分野についてSNSで情報発信をしている方々を多く目にするようになりました。Youtubeなどは1つの動画を見始めるとついつい関連動画を見続けてしまいますよね。


私も例にもれず見てしまい、ベトナム関連の情報を発信する人が急増中という現状に焦りを感じることがあります。YoutubeやInstagramなどではチャンネル登録者数やフォロワーから人気度や知名度をうかがい知ることができます。私も時々Youtubeチャンネル作ったらどうかと言われることがあり、自分の仕事を広く知ってもらったり新たな仕事に繋げていくためにはそれも1つの手かもしれないし、今の時代SNSを使わない手はないよなぁとは思うのですが。。


第1に私がアナログ人間で時代に追いついて行けてないというのがあるほか、コレと言って発信したい事柄がありません(苦笑)。あと自分の嫌な部分なのですが…SNSをつい斜に構えてあら捜し的な目で見てしまうところがあるのも1つの理由です。ベトナム語学習/日本語について、ベトナム事情について誤った説明をしている動画を見たりすると、下手に自分の解釈で情報は上げられないなぁと思ったり。あとは在日ベトナム人に顔が広い若い日本人にも似ているのですが、私は社交的で賑やかなタイプとは正反対の裏方タイプなので、男性女性に限らず華があり、自信があって堂々としている様子、その人の発信を評価する声は羨ましくもあります。消極的なくせに承認欲求だけ高いのが恥ずかしいところ。


ベトナム(日本)に住む日本人(ベトナム人)、ベトナム語(日本語)を学ぶ日本人(ベトナム人)、そして何より「ベトナム語を生業にする日本人=同業他者」が増え続けている今、生き残るには自分の仕事のあり方や方向性についてこのままではいけないなぁ…もっと勉強して実務経験を積むほかに、情報を発信していく必要があるんじゃないだろうか…と焦りつつ何も行動していない私です(汗)


〇1つの分野に絞って高みを目指す同業他者

これはフリーランスになってからずっと焦りを感じている対象(特定の誰かという訳ではない)です。このホームページでも幾度となく言っていますが、これまでベトナム語の通訳や翻訳は医療・医薬・特許・観光などの専門分野がある英語等のメジャー言語と異なり「何でも屋」でした。しかし近年ではメディカルツーリズムが盛んになっているほか、日本国内でのベトナム関連事件が増えていることから医療や司法の場での通訳翻訳の需要が高まっています。そのため、医療通訳や司法通訳の講座も増えており、これらの分野に特化して業務を請け負っている同業他者(日本人&ベトナム人)もいます。私はどちらも実務経験はあり、医療通訳については国立の機関が主催した研修も修了してはいますが…胸を張って医療通訳&司法通訳ができます!という自信は皆無です。。。今後も需要が増える分野だということは理解していますが…「やりたい!」よりも「やらなきゃ…」という気持ちが強く実に腰が重いのです。本当に興味があってやっていて楽しい分野もあるのですが、それだけで生計を立てることは到底無理なので難しいところです。


このように、過去と現在でついつい比較してしまう対象は違ってきていますが、離婚して会社員からフリーランスに転身した時に「安定よりも好きなことを仕事に(ただし生活に困らず多少は貯蓄できる程度に)」、「娘との時間を最優先」、「継続は力なり!」、「全ては自責のもとで決定」、「流されない」と自分の中で軸を定めたので、今では面白いほど他人と自分の暮らしを比べることはなくなりました。目下の焦りは仕事の内容面やアプローチ方法。15~20年前はまだ珍しかった日本語ネイティブのベトナム語通訳翻訳者も今では随分と増え、ベトナム語ネイティブの同業他者は数えきれないほどまでに。


情報発信能力に長けた若い世代に焦りを感じた時には「いやいや私は表に出るタイプじゃなく、彼らとは立っているフィールドが違うのだから焦る必要なし!地道にコツコツいただいたお仕事に取り組むのが私スタイル。真摯に取り組んでいれば、おのずと他の仕事にも繋がる…はず…!」と一生懸命自分に言い聞かせています(笑) 1つの分野に絞って高みを目指す同業他者に対しては…きっと焦りを感じることも時には必要なのだろうと。私はボーッと時が過ぎがちなので、同業で自己研磨に励む方や着々と実績を積んでいる方を見て焦るときは、自分がやりたいことや社会の動きと求められていること、やるべきことを考えるタイミングなんだと捉えるように…一生懸命自分に言い聞かせています(笑)





写真はフリーランスに転身後の通訳現場。通訳業務中の写真をと思い探しましたがほとんどないので、かなり昔…2017年&2018年の写真。発表者の横に立ったり座ったり、通訳ブースに座ったり、日越の参加者の中央に座ったり…。コロナ禍の今では目にすることのない光景です。


ベトナム語通訳翻訳者 田崎広野

フリーランスベトナム語通訳翻訳者 田崎広野の活動を紹介する個人ページ Trang cá nhân của Tazaki Hirono: Phiên dịch viên Nhật - Việt tự do

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