翻訳の巨匠・ズオン・バン・ゴさん(87歳)
9月初旬の海外研修アテンドで、念願の方にお会いしてお話しすることができました。ホーチミン市中央郵便局で27年間にわたり手紙の代筆をされている Dương Văn Ngộ(ズオン・バン・ゴ)さん、87歳です。
私が初めてホーチミン市に長期留学した2003年は、携帯電話は持っていたものの白黒画面のガラケーでSkypeやSNSなども今ほど普及していませんでした。そのため家族への連絡はメールや手紙が多く、国際電話も郵便局内にあるクラシカルな電話ボックスから掛けていました。
手紙と一緒に現像した写真をたくさん入れた封筒のエアメール代は重さによってその都度違ったので、送るときは中央郵便局まで行っていました。郵便局へ行くといつもおじいさんが奥の方の机で何やら書いていたり、ずっしりと重そうな鞄からノートを出す姿は見かけていましたが、その当時は特に気にも留めていませんでした。
その後、ゴさんについて書かれた現地日刊紙を目にして「あのおじいさんだ!」と驚いたのを今でも覚えています。いつかお話してみたいと思ってはいたのですが、私自身が郵便局へ行く機会が減りそのまま帰国してしまいました。次に中央郵便局に行ったら必ず…と思い続けてこの夏やっと実現できました。
今年87歳のゴさんはフランス植民地時代にフランス語を学び、その後郵便局に就職。在職中には郵便局の代表として英語を学んだそうです。そして1990年に退職してから今日に至るまで郵便局で手紙の代筆をされています。時間があったらもっと色々なお話を聞きたかったなぁと思いました。
ゴさんの代筆業におけるエピソードは、以下の記事をご覧いただければと思います。
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