翻訳者はAI翻訳に淘汰されてしまうのか
数日前に第3回ベトナム語検定が実施されましたが、受検された方々は手応えのほどいかがでしょうか。ベトナムの声放送局(VOV)によると、今年は703名が受検したそうです。最年少&最年長はそれぞれ12歳と83歳、どちらも驚きの年齢ですね。
検定前から多くの方が私のサイト(特にベトナム語検定や勉強方法についての投稿)をご覧くださり、有り難くもあり…たいした情報がなく落胆してしまったのでは…と思ったりしています。その辺は、あくまで私の体験談であり検定対策を目的とした投稿ではないのでご理解いただけたらと思います。
移動の多かった5月と打って変わり、6月に入ってからは部屋に缶詰めになってずっと翻訳作業をしています。日中はもちろんですが夜も明け方4,5時までの作業が続き、昨日でやっとひと段落したところです。次のお仕事も目の前にありますが、ちょっと気分転換にコレを書いています。
さて、タイトルにしています「翻訳者はAI翻訳に淘汰されてしまうのか」について、皆さんはどうお考えでしょうか。何年も前から世界でも頻繁に取り上げられているテーマですが、先日の訪越で久々に再会した友人ともこのことが話題に上がりました。
私の見解(本当に私個人の勝手な考えです)を先に言ってしまうと…能力が低い&自己研磨しない、自分の強みや弱点を客観視できない、語学+αの専門性に欠ける、情勢や社会の動きから先を見通す力がない…このような場合はAI翻訳に淘汰されてしまう…。
つまり、現状に甘んじてのほほんと構えていると早い段階で淘汰されかねず、常にアンテナを張り時代に合わせた努力を惜しまなければ生き残れる道が十分にあるのではないかなぁと考えています(自分への戒めを込めて)。
業務量:
ヒトが翻訳をする案件数は確実に減っていき、それに比例してヒトがAI翻訳をチェック&修正するポストエディター業務が増える。特に最近の傾向としては日→越の翻訳案件が増加しているため、日本語ネイティブの翻訳者は重宝される。但し、その単価はとても低くなるだろうと予想。
一方で、AI翻訳で安く抑えたいという層とは別に、それなりの料金がかかってもやっぱりヒト(優秀で信頼できる翻訳者)に翻訳して欲しいという層は一定数残るはず…。
分野:
翻訳案件のなかでも他の単語や文章の意味と取り違える余地がない契約書やマニュアルなど定型文があるような文章は早期にAI翻訳の導入が進められる。一方で司法や医療などヒトの人権や生命などにかかわる案件はより一層慎重さが求められるため、当面は専門性の高いヒトにより翻訳されると予想。専門性を求められる分、単価も高い。
それから文芸。これまでにも書いたことがありますが、訳者によって文章の印象が大きく変わる分野ですから、AI翻訳でも文法的には間違ってはいないけど情緒に欠ける…という問題が出てきそうですよね。こうした分野はヒトが訳してこそ味のある文章になると思うのですが、いかがでしょうか。
私自身も翻訳作業をする時にGoogle翻訳で日↔︎越の訳を見ることがあります。その精度はこの1,2年で劇的に上がっています。今までにとある自動翻訳の元となる言語データのチェックを請け負ったこともあるのですが、きっとものすごい数の企業が競合他社よりも優れた自動翻訳を目指して研究開発しているのだろうと思います。
私はGoogleアラートという機能を使って、ベトナム、ベトナム人、ハノイ、ホーチミン、ベトナム語、通訳、翻訳…などなどのキーワードが含まれるニュース記事のダイジェストメールが毎日送られてくるように設定しています。そしてほぼ毎日、企業や自治体などで「翻訳アプリを導入」というような記事が出ています。それとは別にベトナム人絡みの事件事故、労働問題、入国管理問題、企業のベトナム進出、新たな組織団体の設立なども。
このような記事を読んでいると翻訳業を生業にしている者として危機感を感じずにはいられませんが、世の中の流れが良く分かりますし、求められる翻訳者像みたいなのもぼんやりと見えてくるような…。ただ私の目下の悩みは専門性です。色々な分野をちょっとずつかじってはいるものの、現時点でこの分野に特化しよう!と決めていません。まだ色々試してみたいという思いが強いというのもありますが。
そしてもうひとつ、(ベトナム語の場合は特に)翻訳と並行して通訳を続けることも必須かなぁと思います。ビジネス、司法、医療など分野は違えど対面式の現場ではやはり生身のヒトが強いと考えるからです。フリーランスでやっていく場合には万が一の時に備えてリスク分散も念頭に置く必要があり、翻訳をしつつも通訳も現役であり続けることが大切だと感じています。
長々と書きましたが、共感いただける部分や、それは違うだろ!という部分もあるかと思います。私はこう思うよ!というご意見などあればお聞かせいただけましたら嬉しいです。
写真は最近作った住所スタンプ。フリーランスで仕事をしていると請求書や領収書などを郵送することがよくあります。手書きでも良いのですが、試しに注文してみました。サンプルを参考にしながら順番を考えたのですが…ちょっと失敗。名前が一番上が良かったなぁ。しばらく使ってみて、また良きタイミングで作り直したい…。
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