実用ベトナム語技能検定試験 プレビュー

実は…6月24日(日)に都内で実施された「第2回 実用ベトナム語技能検定試験」の2級と3級を受験しました。これまでタイ語やインドネシア語は検定試験がありましたが、ベトナム語にはなかったため(現地大学で受験できる能力試験はあります)、ベトナム語のレベルを客観的に評価することが難しいという現状がありました。今後、この検定試験がスタンダードとなっていくのか?以下に、受験してみた感想をまとめてみました。


2017年6月に第1回(準6級~2級)が実施され、1級は冬季に実施すると予告されていたので、ベトナム語を生業にしているものとして1級の受験を検討していましたが、噂で聞くところによれば受験者が集まらなかったとかで実施が見送られたようです。


そこで今回2級と3級を受験し、無事に合格することができました。合格は当然、満点合格するべきところ、残念ながら満点は取れませんでした。しかし、ぶっつけで9割程度は取れたので、「試験慣れ」さえすれば満点も無理ではないかなぁという感触です。と言うのも、私は事前に受験経験者に話を聞くことも試験対策の勉強も一切なく、出題形式が全く分からない状態で受験したせいか、午前中に受けた3級の方が午後に受けた2級より難しく感じたためです。(難易度は2級の方が上なはず…)


【リスニング】は、問題用紙に選択肢(写真・文章・記号)が記載されている問題や、選択肢がなく音声のやり取りや質問を聞いて正しいと思う回答をマークシートで塗りつぶす形式があり、「え?なになに?どうやって答えるの?」と考えているうちに音声がどんどん進んでいってしまいました。私はリスニングは得意な方で検定の問題も特に難しくは感じませんでしたが、スタートでつまずいた感がありました。。。


【語彙】は、覚えるしかないですね…。個人的には単語を単体でひたすら暗記するより、長文読解や構文の中で増やしていく方が覚えやすいかなぁと。


【文法】は、いわゆるフォーマルな文章で書かれている語順とは異なり、どちらかと言うと砕けた口調(倒置法のような?)での語順に並べ替えさせる問題が多かったように感じます。普段フォーマルな文章を翻訳することが多いせいか、思い込みでフォーマルな語順に並べていくと最後に単語が変な風に残ってしまったり、違和感のある文章になったりして、ここは少し手こずりました。


【読解】は、確か新聞記事が引用されていたと思います。私は普段から仕事で新聞記事を毎日読んでいることもあり、「長いっ!」と感じることはなく、難易度もそんなに高かったようには感じませんでした。これはやはり英検やTOEIC、TOEFLと同様に長文を読むことに慣れ、かつ速読できるようになる必要がありそうです。


この「実用ベトナム語技能検定試験」がスタンダードとなっていくのかはまだ分かりませんし、今後新たな検定試験が登場する可能性もあります。実用ならばスピーキングがあった方がいいような気もしましたし、現状では出題範囲もいまいち明確でないのがネックではありますが、力試しに受験してみては?というのが感想です。


ただし…

以前に、日本語能力試験の1級に2度合格したことがあるというベトナム人の男性と一緒にお仕事をする機会があり、こちらの言うことがなかなか伝わらなかったり、男性の言うことをこちらが理解できなかったり…という問題にぶつかったことがありました。「1級」と聞くと読み書き会話をネイティブに近いレベルでできると思いがちですが、「試験慣れ」しているのと、「実地」はまた別物…ということも⁉


第3回は2019年6月23日(日)に実施予定とのこと。学習者の方は挑戦してみては?



【追記】検定に関連して、中・上級者向けのおすすめ学習方法を紹介していますので、是非ご参考ください↓

【追記】2019.1.10
ここのところ多くの方がこのページを閲覧くださっているようなので、近いうちにベトナム語検定に役立ちそうな?勉強についても書きたいと思いますので、時々覗きに来ていただけましたら嬉しいです。HPの更新はインスタグラムでもお知らせしております!
 
【追記】2019.2.6
長文読解について本ウェブサイトの新しい試み【今日の読み物】を紹介しています↓
記事の紹介は近日中を予定しております。

【追記】2019.3.13

第3回ベトナム語実用ベトナム語技能検定試験の受験申込み開始まで1か月を切りました。初挑戦やリベンジを検討されていらっしゃる方も多いかと思います。上記の受検してみた感想とまとめの投稿でもこの検定がスタンダードとなるのか?他にも検定が登場するのか?と触れていますが、遂に2019年度中に新たなベトナム語検定試験が登場する予定のようです!

 

この検定は私もよく存じ上げるベトナムの言語学・社会学・ベトナム語教育のパイオニアの先生方が何年もかけて研究を重ねられてきた試験。第3回目を迎えるベトナム語実用ベトナム語技能検定試験が実用日本語検定を基に構成されている(あくまで主観です)のに対して、この新たな検定は「ベトナム研究者によるベトナム語学習者のためのベトナム語検定」と言えるでしょう。


まだ検定の内容を見たわけではないので適当なことは言えませんが…、難易度は既存の検定より上がるものの範囲設定や級分けがはっきりとした、より実地に近い生のベトナム語の検定で、これがスタンダードになるんじゃないかなぁ…と想像しています。


第1回実施も近いとのことですが、最新情報が得られた際には本サイトでも紹介していきたいと思います。ベトナム語検定の受検を検討されている方も今後はあらゆるベトナム語検定が登場することも念頭にアンテナを張っておかれることをおすすめします!


【追記】2019.11.1

残念ながら現時点で最新情報はありません…

【追記】2019.11.26

年度末にパイロット実施が企画されているとかしないとか。実施される場合も大学で勉強中の学生さん向けで、一般向けはまだ先になりそう…?

【追記】2020.2.5

2月2日(日)に東京と大阪で、新たなベトナム語の試験が実施されました。iVPT「国際ベトナム語能力試験」の第1回目です。1月初旬に要項が公布されましたが、初回の今回は大学や専門学校でベトナム語を学習中の現役学生さんがメインターゲットでした。そのため、要項公布や願書提出から試験実施までがスケジュールがタイトで受験料免除、一般に広く告知はされませんでした。第2回についての情報はまだありませんが、下記のサイトのiVPT紹介のページをご覧いただければ分かるように、iVPTは多数の研究者や教育者が携わっており、ベトナム語教育がされている国内外の大学に認可されているベトナム語能力試験です。その分難易度は高そうですが、頑張り甲斐もありますね。


【追記】2020.12.2

2021年2月11日(木・祝)にiVPT「国際ベトナム語能力試験」の2021年春季試験が一般向けに実施されます。遂に一般も受験が可能なオープンの試験です。要項は11月26日に公布され出願期間は12月1日~12月31日までの1か月間。詳細は『国際ベトナム語能力試験』2021年春季 願書受付中!!をご覧ください!

ベトナム語通訳翻訳者 田崎広野

フリーランスベトナム語通訳翻訳者 田崎広野の活動を紹介する個人ページ Trang cá nhân của Tazaki Hirono: Phiên dịch viên Nhật - Việt tự do

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