フリーランスの子連れ出張

何かコレというきっかけがあったわけではないのですが、最近になって仕事(通訳)に対する心境に変化がありました。過去にも「フリーランスの保護者と保育園 2018.04.16 23:28」でフリーランスという仕事をしながら育児をすることについて書きましたが、今回も個人的な記録として子連れ出張について記しておこうと思います。(以下、だらだらと長くなります…)


私が会社員からフリーランスに転身したのには大きく2つの理由があります。1つ目は「自分が本当に好きな仕事をしたい」から。自分が選んだ好きな仕事なら多少しんどくても頑張れるし、フリーランスになると自分のやった仕事が何かのフィルターを通すことなく直に自分の評価につながるので達成感があり、次の目標も立てやすいです。収入が不安定になるというリスクはありますが、そのリスクを負ってでも「好きなこと」を取りたいと思いました。


2つ目の理由は「娘との時間をなるべく多く取りたい」から。会社員時代の後半(つまり産後)は通訳翻訳業を離れて、定時退社の約束で転職したものの日を追うごとに業務量が増え、気付けば朝7時半頃~夜22時頃の勤務や休日出勤が常態化、心身ともに疲弊して育児どころか自分のこともままならない日々でした。


カミングアウトになりますが…(インスタをフォローしてくださっている方は察している方もいらっしゃるかもしれません)、訳あって結婚6年で✖(バツ)が付き、ひとり親となって数年が経ちました。本当に色々ありましたが、現状から言うと結婚&出産&離婚、退職&開業などなど…なるべくしてなったと納得していますし、これまでの選択に後悔は1つもありません。(離婚なんて身勝手!子供が可哀そう!…というご意見があることは理解しているつもりです。)


人によって職業選択の優先順位は違うと思います。私の場合、一度は育児を優先したいという思いから業務内容よりも勤務時間を優先して転職しました。しかし結局のところ、この転職により自分は時間や給与、地位、安定よりも好きな仕事をしてないと気が済まない性分だということを再認識することになりました。そして、離婚により娘との時間を大切にしたいという思いがそれまで以上に増し、私自身が心身共に健康でいることが娘の健やかな成長につながるとも考えるようになりました。


業務内容(やってみたいかどうか)や自分のスケジュール(他の業務日程・自分や娘の体調・娘の保育園行事・自主休暇など)と照らし合わせて受けるべきかどうかを判断できること、真摯に取り組めば必ず仕事はもらえるだろうという根拠のない自信…から、こうなったらフリーランスになろう!と一念発起しました。


フリーランスになってからは翻訳は自宅で作業しますが、通訳は基本的にお客様のところに伺う仕事スタイルです。通訳は移動時間や開始&終了時間によって、出発や帰着が朝が早かったり夜が遅かったり、数日にわたる出張があったりします。これは会社員でもそうだと思います。


私はフリーランスになったばかりの頃(今でも駆け出しですが…)、通訳業務の打診があった際に現場から娘の保育園の移動時間を考えて厳しそうな時や、1~2日の短期出張で実家の母に子守りの為に上京してもらうには割に合わない時など、理由を述べることなく最初からお断りしていました。家庭の事情を仕事に持ち込みたくないという気持ちがあったからです。


しかし、最近は業務によって調整が可能そうな場合には「~の都合で、1時間遅くスタートならお受けできる」、「〇時までならお受けできる」などご相談させていただくようにしています。それでダメな場合もありますし、それでもOKなのでお願いします!と言っていただける場合もあります。子供がいるから、ひとり親だから…あの人は適当な仕事をするとは思われたくないので、お受けした時には時間的制約がある中でも最善の努力はしようと心掛けています。一方で、最近ふと自分の裁量で物事を決めることができやすいフリーランスだからこそ、その利点をもっと活かそうとも思うようになりました。


今では娘も4歳になって体調を崩すことも減り、ありがたいことに赤ちゃんの頃から大人の集まりに連れまわしていることもあって年齢の割には場をわきまえて自分なりに時間の潰し方を身に着けてくれ、母親(私)に似て旅行好きカフェ巡り好きに育ってくれています。そんなこともあり、娘を連れた遠出や子供が好きそうなものがないところへの訪問も比較的気を負うことなくできるようになりました。


そして最近…小学校へ上がれば授業もあるし学校を休ませることは容易ではないかもしれないけど、今はまだ保育園児。休ませてもそう大きな問題ではないだろう…と、出張に連れて行くようにしようかなぁとぼんやり考えるようになりました。今までは「出張=仕事only」と考えていたのですが、出張は初めて訪れる土地も多かったりするので仕事だけでトンボ帰りはもったいない!せっかくなら「仕事+α」で楽しもう!旅行を兼ねて娘と出かけるのもいいかなぁ!と。もちろん、小学校へ上がったらまた別の方法を考えなければなりませんが。


特にフリーランスとしての自主的な営業や打ち合わせを兼ねた出張などには連れて行けたらと考えています(お母さんはこういう仕事をしているんだよ、と娘に知ってもらう機会にしたいという思惑も)。もちろん娘が同席できない業務もあるため、その時には一時預かりなど地域のサービスを利用したり、ベトナム出張なら幸いにも現地に友人もいるのでしばらく見てもらったりその時々で検討できたら理想です。お利口さんで待っていてくれた娘には、業務後に思い切り楽しんでもらえる企画付きで。


普段から大人の所用に連れて行く時は「お母さんのやりたいこと終わったから次は〇〇ちゃんの好きなことしようね」と声を掛けているもので、娘も何かにつけて「〇〇ちゃんの好きなことしたから、次はお母さんの好きなことしていいよ」と言ってくれます…。


聞き分けが良過ぎたり我慢させ過ぎていないか心配していましたが、先日の保育園での個人面談で「〇〇ちゃんとても穏やかですよ~自分の世界を持っています~人のお話を良く聞くことができます~自分の気持ちをきちんとお話しできます」と言っていただき、ホッと安堵している私です。


以前、とある専門分野の方に仕事上のアドバイスを伺ったところ、「ひとり親なら自分のやりたいことは後回しにしてでも定職に就くべき」、「ひとり親だからこそ倫理綱領を遵守する人だと他人からの信頼を得るために組織に所属するべき」と、私が求めていたアドバイスではなくプライベートについて辛辣なご意見をいただいたことがあります。


私は正社員として勤務しながらフリーランスのリスクについてもよく考えた上で私なりの覚悟をもってフリーランスに転身したつもりです。それなりに仕事も増え、常に時間との戦いだった正社員時代と比べて娘との時間もたっぷりとれ気持ちにも余裕ができ、当面はフリーランスでやっていけるなぁと思っていたところにこのご意見をいただき…。あたかもひとり親でフリーランスになるなんて気が知れない!ひとり親はルーズで信用ならない!と言われたような気持ちになり、納得がいかず悔しくしばらくモヤモヤしていました。…が、今では仕事や家族に対する根本的な考え方が私とは違うんだなと割り切れています。


人それぞれ仕事や家族に対する考え方がありますし、今の世の中、仕事の仕方も家族のかたちも千差万別です。このサイトをご覧いただいている方々がどのようなお仕事や勉強をされ、どのような家庭環境なのかは知り得ませんし、仕事や家庭についての考え方も私とは正反対かもしれません。


この投稿はこの先の自分が読み返せるように今の私の考えを記録するものですが、フリーランスや通訳翻訳業を検討されている方や仕事をされている子育て世代の方、ひとり親の方など…こんな人やこんな働き方もあるんだなぁと、何かの参考にでもなれば嬉しく思います。





写真はスマホのアルバムをさかのぼり見つけた、娘(0歳~4歳)の新幹線での様子。娘が赤ちゃんの頃から東京~金沢を新幹線で移動することが多く、当初はなるべく車両の連結部とトイレに近い席を取っていました。それでもぐずり始めた時や寝かしつける時にはほとんどを連結部で過ごしました。1人遊びができるようになると新幹線移動もだいぶ楽になり、今では自らお出かけ用の文房具セット(鉛筆・消しゴム・色鉛筆・クーピー・各種シール)と自由帳やドリルを取り出し取り組み、飽きると軽食やお菓子を食べたりしています。

ベトナム語通訳翻訳者 田崎広野

フリーランスベトナム語通訳翻訳者 田崎広野の活動を紹介する個人ページ Trang cá nhân của Tazaki Hirono: Phiên dịch viên Nhật - Việt tự do

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